Monday, May 22, 2006

BigFatCat and the Snow of the Century 21 p.27

勝瀬大佑訳
ジョージ、ビージーズ、パディー、フランクと数人の住人がキャンプファイヤーのまわりで縮こまっていました。フランクは、ひざの上に新しいラジオをかかえて、音量をあげました。
「ラジオを聞いているんだ。」ビージーズは言いました。「モールから生中継をしているんだ。」
エドはうなづいて、ほほえみました。グレンハンパートンは話し続けていました。彼女は現地の合唱グループを紹介していました。
ジョージは立ち上がって、キャンプファイヤーのそばに置いてある、大きな、湯気をあげる鍋の方へ行きました。彼はブリキのコップをつかんで、鍋の中にひたしました。
「さあ。シチューを作ったんだ。」彼はエドに言いました。
エドはビージーズのそばに座り、ジョージからコップを受け取りました。大きな野菜のかたまりが入っている、温かい手づくりのシチューでした。それはこんな日にはぴったりでした。
「それで君は悪い知らせを彼らに伝えたのかい?」エドがコップからシチューをすすっていると、ビージーズは尋ねました。
エドは少し止まってから、頭を振りました。
「できなかった。明日、戻るつもりなんだ。」
ビージーズはだまってうなづきました。ラジオはクリスマスのコーラスを放送し始めていました。


相原寛彰訳
ジョージとビージーズ、パディ、フランク、そして他に数人のゴーストアヴェニューの住人が大きなたき火の周りで縮こまっていました。フランクは、ひざに新しいラジオを抱え、ボリュームを上げていました。
「ラジオを聞いているんだ。」ビージーズは言いました。「モールから生中継なんだ。」
エドはうなづいて微笑みました。グレン・ハンパートンは話し続けていました。彼女は地域の合唱グループを紹介していました。
ジョージは立ち上がって、大きなたき火のそばに置いてある大きな湯気をあげている鍋のところに行きました。彼はブリキのカップをつかんで、それを鍋に浸しシチューをすくいました。
「ほら、シチューを作っておいたよ。」彼はエドに言いました。
エドはビージーズのそばに座って、ジョージからカップを受け取りました。大きな野菜の塊の入った温かい手作りのシチューでした。それは、こんな日にはぴったりのものでした。
「それで、悪い知らせは伝えたのかい。」エドがカップからシチューをすすっている間、ビージーズは尋ねました。
エドは一瞬止まって首を横に振りました。
「できなかったんだ。明日また行くつもりなんだ。」
ビージーズは黙ってうなづきました。ラジオがクリスマスの合唱を放送し始めました。

Sunday, May 14, 2006

BigFatCat and the Snow of the Century 20 p.26

勝瀬大佑訳
6時のバスが最終のバスでしたが、エドは5時のバスに乗って帰ることに決めました。日が沈んでから、雪と風は急に強くなったので、これは結果的にとてもいい考えになりました。エドがバスを降りたとき、地面の雪はすでに足首のところまできていました。映画館に戻るのは、ほんのひと歩きでしたが、入口に着くまでにおよそ10分かかりました。
「ニューエヴァービルモールから生中継でお送りしています。こちらグレンハンパートンが今夜(予定)のクリスマスの式典の報道(クリスマスのお祝いのイヴェントを)みなさんにお伝えします。
雪に向かってドアを閉めると、ラジオの声がエドを迎えました。エドはラジオの音に従ってロビーを横切り、メインシアターに入りました。ジョージはエドが戻ってきたことに最初に気づきました。
「やあ、エド。ちょうどいいときに帰ってきたな。ちょっと心配したんだぞ。」
「ごめんよ。」エドは頭を肩の雪を払いながら言いました。「雪はどんどん強くなってるよ。」


相原寛彰訳
6時のバスが最終バスでしたが、エドは5時のバスで帰ることに決めました。これは、太陽が沈んだあと、雪と風が急速に強まったので、結果的に非常によい考えであることが分かりました。エドがバスから降りると、地面の雪はすでに足首まで積もっていました。映画館までほんの短い距離でしたが、入口に辿り着くまで10分近くかかりました。
「ニュー・エヴァーヴィル・モールからライブでお届けします。こちらグレン・ハンパートン、今夜予定のクリスマスのお祝いのイヴェントを皆さんにお伝えしています。」
雪が入らないようドアを閉めると、ラジオの声がエドを迎えました。ラジオの音に従ってロビーを横切り、メイン・シアターに入っていきました。ジョージが最初にエドが帰ったことに気づきました。
「やあ、エド。ちょうどいいときに帰ってきたよ、なあ。少し心配になっていたところなんだ。」
「ごめん。」エドはそう言うと頭と肩から雪を払い落としました。「雪はますます激しくなっているよ。」

BigFatCat and the Snow of the Century 19 p.25

勝瀬大佑訳
「わかった。ウィッシュボーン。分かったよ。」
ジェレミーは少し怒っているようでしたが、彼の声はおだやかでした。
「私が君が分かっていないことを教えてやるよ。」ジェレミーはエドから汚れたスプーンを戻してもらって言いました。「お前にふさわしくないチャンスを得るよりも悪いことは、そのチャンスを無駄にすることだ。」
エドは黙ってしまいました。ジェレミーは手のひらをエドにさし出しました。エドは何のことか分からずに、しばらくジェレミーの手のひらを見つめているだけでした。
「パイ代。2ドル55セント」ジェレミーは単調に言いました。
「あぁ、ごめん」エドはポケットの中をごそごそと探して、急いで3枚の1ドル札を取り出しました。
「どうもありがとう。(ありがとうございました)」ジェレミーはお金を受け取って、おつりを出すためにカウンターの下に手を伸ばしました。「おつりだ。」彼はそう言って、手からエドの手のひらに緑のスライムをしぼり出しました。
「ギャー」
今度のさけび声は、前よりもずっと大声でした。


相原寛彰訳
「分かってるよ。ウィッシュボーン。分かってる。」
ジェレミーは少し怒っているように思えましたが、声は落ち着いていました。
「それでは、君が分かっていないことを教えてやろう。」ジェレミーは、汚れたスプーンをエドから戻してもらいながら言いました。「君に相応しくないチャンスを得ることより悪いことが一つだけあるが、それは、そのチャンスを無駄にすることだ。」
エドは黙り込んでしまいました。ジェレミーは、エドに手のひらを差し出しました。エドは何のことか分からず、ただジェレミーの手のひらをしばらく見つめていました。
「パイ代金、2ドル55セント。」ジェレミーはそっけなく言いました。
「あぁ…ごめん。」エドはポケットの中をごそごそと探して、急いで1ドル札3枚を取り出しました。
「ありがとうございました。」ジェレミーはお金を受け取り、おつりを取ろうとカウンターの下に手を伸ばしました。「はい、おつり。」そう言うと彼の手からエドの手のひらに緑のスライムを絞り出しました。
「ぎゃあぁぁぁぁぁ…!」
この叫び声はさらに大きなものでした。

Tuesday, May 09, 2006

BigFatCat and the Snow of the Century 18 p.24

勝瀬大祐訳
「分からない。だたそう思うだけだ。彼は自分の仕事があまり好きではなかった。」あとで思いついて、ジェレミーは加えました。「彼はゴーストアヴェニョー(アヴェニュー)で育ったんだ。」
エドはこのことを少し考えましたが、何も言うことが思いつきませんでした。
「ところでいつ店を開くんだ?」ジェレミーは興味のないふりをして尋ねました。
エドは一瞬ぎこちなくほほえみました。
「私はあの店にはふさわしくないよ。」彼は言いました。
ジェレミーは他の客にパイを出している間、顔をしかめてエドを見ていました。
エドはもう一度言いました。「私にはよすぎるんだ」
「そうそう。もちろんお前にはふさわしくないよ。みんな知ってるさ。」ジェレミーは言いました。「お前だけが私と16人のパイ職人を破ったんだからな。当然、それはお前にはふさわしくないよ。」
エドは彼が言っていることに気づいて、急いで付け加えました。「あぁ、ちがう、ちがう。そういうつもりで言ったんじゃない。ごめん。コンテストで優勝したことは、本当に誇りに思っているんだ。本当だ。でもあの店は私には合ってないよ。」


相原寛彰訳
「分からない。ただそう思うだけだ。彼は自分の仕事がそれほど好きではなかった。」少し考えたあと、ジェレミーは付け加えました。「ほら、彼はゴースト・アヴェニューで大きくなっただろう。」
エドはこのことを少し考えましたが、何も言うことを思いつきませんでした。
「ところで、いつ店を開く予定なんだ。」ジェレミーは、あまり関心のないふりをして尋ねました。
エドは一瞬ぎこちなく微笑みました。
「あの店には相応しくない」彼は言いました。
ジェレミーは、別のお客にパイを渡しながらエドに顔をしかめてみせました。
エドは再び言いました。「僕にはよすぎるんだ。」
「そうだろう、そうだろう。もちろん、君はそれに相応しくない。誰でもそれを知っているよ。」ジェレミーは言いました。「お前だけが、私や他の16人のパイ職人を破ったんだからな。確かに、それに相応しくないだろうよ!」
エドは彼が言っていることに気づいて、急いで付け加えました。「あ、違う、違う! そういう意味じゃないんだ。・・・ごめん。僕は本当にそのコンテストに優勝したことを誇りに思っているよ。本当に思ってるよ! でも、あのお店は・・・僕とは違う世界のものないんだ。」

Saturday, May 06, 2006

BigFatCat and the Snow of the Century 17 p.23

勝瀬大佑訳
「いや…遠慮しておくよ。」エドはそう言って、ガラスのカウンターの下に置かれたスライムバケットパイを指さしました。「そのパイを1つもらえる?」
ジェレミーは顔をしかめましたが、「いいよ」とつぶやき、カウンターの下に手を伸ばしました。彼はボウルのような形をした空っぽの生地を取り出して、その生地にミントスライムを流し込みました。彼は木のスプーンでそれをエドに手渡しました。エドは味見をして、ほとんどすぐに言いました。
「すごい!」
ジェレミーはただ肩をすくめました。
「これは私が今までに食べた中で一番おいしいチョコレートミントパイだ」エドは繰り返しました。
ジェレミーはエドが皮肉なやつだと思いましたが、エドは本当にそう言いたいようでした。ウィッシュボーンには気の毒だ、彼は思いました。彼が店をオープンするころまでには、ゾンビパイはなくなっているだろう。
この週は、彼の店の最後の一週間でした。ジェレミーのお父さんはエヴァービル復興計画のために店を売ってしまいました。でも彼はこのことをエドに言いませんでした。
「君はひとりの他人だからね」ジェレミーはつぶやきましたが、悪い口調ではありませんでした。「ああ、そうだ…、私のボディーガードを覚えてるか?」「うん」エドはやや不安げに言いました。「もちろん」
「彼は今朝逮捕されたんだ。」
「彼が?」
「逮捕されたのは驚くことじゃない。彼は私の父親のためにいろいろなことをしたからね。」ジェレミーは「こと」という言葉をうんざりしたように言いました。本当に驚くことは警察が彼を捕まえることができたことだ。彼は簡単に捕まるようなやつじゃないだろ。私は、たぶん彼は捕まえてほしかったんだと思うんだ。」
「なぜ」エドは尋ねました。
ジェレミーはまた肩をすくめました。彼はビリーボブが捕まったなら、父親が捕まるのもそう遠くはないことも分かっていましたが、それが、彼がエドに言わなかったもう一つのことでした。

相原寛彰訳
「あぁ…いや結構」とエドは言って、カウンターのガラスの下に展示してあるスライムバケットパイを指さしました。「で、このパイを一つもらえるかな」
ジェレミーは、眉をひそめましたが「もちろん」と言って、カウンターの下に手を伸ばしました。彼は、ボウルの形をした中に何も入っていないパイ皮を取り出し、そのパイ皮にミントスライムを一杯流し込みました。彼は、それを木製のスプーンでエドに手渡しました。エドは味を見てほとんど同時に言いました。
「すごく美味しい!」
ジェレミーは肩をすぼめただけでした。
「これは、ぼくがこれまで食べた中で一番美味しいチョコレートミントパイだよ。」エドは繰り返しました。
ジェレミーは、エドが皮肉を言っているのかと思いましたが、エドは、本当にそう思っているようでした。ウィッシュボーンには気の毒だが、とジェレミーは思いました。エドの店が開店するときまでには、ゾンビパイはなくなってしまっているだろう。
今週は、彼の店の最後の週でした。ジェレミーの父親がその店をエヴァーヴィル復興計画に売ってしまったのです。しかし、彼はこのことをエドには言いませんでした。
「君は他人の一人だからね。」ジェレミーはつぶやきましたが、悪い口調ではありませんでした。「あ、そうだ…僕のボディガードを覚えてるかい?」
「もちろん」エドはかなり不安げに言いました。「当然だろ」
「彼が今朝逮捕されたんだ。」
「彼が?」
「逮捕自体は驚くことじゃない。僕の父のために多くの「こと」をしたからね。」ジェレミーは「こと」という言葉をうんざりしたように言いました。「本当に驚いたのは、警察が彼を捕まえることができたということだ。彼は、そんなに簡単に捕まえられるようなやつではないだろう。もしかしたら、彼は捕まりたかったんじゃないのかと思うんだ。」
「どうして?」エドは尋ねました。
ジェレミーは、再び肩をすぼめました。彼は、また、ビリー・ボブが捕まると、彼の父親の逮捕もそう遠くはないことも知っていましたが、それもまた彼がエドに言わなかったことでした。

Monday, May 01, 2006

BigFatCat and the Snow of the Century 16 p.22

勝瀬大佑訳
「じゃあ、ぼうやは悪いサンタがほしいのかい。」
顔に赤と紫の化粧をしたジェレミーがゾンビパイのカウンターの後ろで立ち上がって(に立って)パイを待っている半分こわがって半分嬉しそうな男の子ににやりと笑いました。
「そう、悪いサンタも君を欲しがっているんだ」ジェレミーが突然声を上げると悪意のある(悪魔のような微笑みをした)サンタの頭がカウンターの下からとび出してきました。子供と彼の母親は叫び声をあげました。
エドもそうでした。もっと大声で。
「ギャー」
ジェレミーは叫び声に驚きました。(彼は驚いて唖然としてエドを見つめました。)エドはずっと後ろからお母さんと子供にみられていました(エドはお母さんのと子供のうしろからずっと見ていました)。彼らと目が合うと、エドは恥ずかしさで赤くなりました。
「なんだ、お前か」ジェレミーはため息をついて言いました。彼がロープを引くと悪いサンタはいなくなりました。
「恐かった。」エドはゆっくりとショックから立ち上がりながら言いました。
「もしそれが恐いなら、トイレへ行ってこい。お前は1日の残りを叫び続けることになるぞ。」


相原寛彰訳
「じゃあ、ぼうやは悪いサンタがほしいのかい。」
ジェレミーは、赤と紫で顔を化粧しゾンビパイのカウンターの後ろに立ち、半ば恐そうに、半ば嬉しそうにパイを待っている男の子ににやりと笑いかけました。
「実は、悪いサンタも君を欲しがっているんだ。」ジェレミーは、突然声を上げると、悪魔のような微笑みをしたサンタの頭がカウンターの下から飛び出しました。子供も母親も叫び声を挙げました。
エドもそうでした。もっと大きな声で。
「ギャー!」
ジェレミーはその叫び声に動揺し、驚きで声も出せずにエドをじっと見つめました。
エドは、母親と子供の後ろからずっと見ていたのです。二人の目が合うと、エドは恥ずかしさで赤くなりました。
「なんだ、お前か。」ジェレミーはため息をついて言いました。彼がロープを引くと、悪いサンタはいなくなりました。
「怖かった。」エドは、ショックからゆっくり立ち直りながら言いました。
「もしそれが怖いのならトイレにでも行って使って来い。残り一日ずっと叫び続けることになるぞ。」