BigFatCat and the Snow of the Century 63 p.74-p.81
勝瀬大祐訳
この世の中にはたくさんのパイがあります。他のより甘いのもあれば、すっぱいのもあります。ぴりっとしたのや、苦いのや、とても辛いのまであります。でもそれは重要ではありません。大切なのはどのパイも違っているということです。それぞれのパイには独特の味があるのです。私のパイは甘くないかもしれません。初めて見ると変に思われるかもしれません。でもそれが私の持っているすべてで、それが私のすべてなのです。そして、どんなパイでも・・・、どんな味でも・・・、友達や家族、そして愛する猫がいれば、そのパイはいつもおいしいのです。たとえそれがマスタードパイでも。 終わり。
BigFatCat and the Snow of the Century 62 p.72
勝瀬大佑訳
吹雪が世界のあらゆる色を減らして、ひとつの大きな白い雪の大地にしてしまいました。遠くから、パトカーのサイレンが近づいてきていました。エドと猫は町に戻りだしました。彼らの足跡は雪の中で近寄って(よりそって)並んでいました。この今夜は終わるでしょう。でもすぐに、エヴァービルの町で新しい一日がはじまるでしょう。
BigFatCat and the Snow of the Century 61 p.71
勝瀬大祐訳
一瞬、時間が止まったようでした。静かに降る雪の中、世界は音もなく慈悲深いものでした。それでも、エドは心の奥では、時間はまたすぐに動き出すだろうと分かっていました。彼は多くの人々に謝らなければならないでしょう。そして、新しい生活を立てる方法を見つけなければならないでしょう。でも今は、関係ありませんでした。それは彼と猫だけのことで、それは始めのことのことでした。(それは彼と猫だけのことでした。ちょうど始めそうであったように。)エドは立ち上がりました。「君はパイ職人だ、エド。ただ店がないパイ職人というだけだ。さあ戻るんだ。パイを焼くんだ。」「そうするよ、ウィリー。」エドはマフラーを巻いて、ささやきました。猫は待つのにうんざりしていました。その猫はまたエドをひっかくと決めていました。「わかった、わかった。帰ったらすぐにブルーベリーパイを焼いてやるから。とにかくマジックパイショップの準備をしないといけないな。」
猫はエドをひっかいて答えました。エドは微笑みました。「そうだ猫、お前には名前が本当にひつようだな。」彼は言いました。
BigFatCat and the Snow of the Century 60 p.70
勝瀬大祐訳
エドは目を拭くと、雪と風が落ち着き始めているのに気づきました。今は、やわらかな粉雪だけが空から降っていました。「猫・・・私はお前を探している間中ずっと、私はなぜそんなにお前を必要としているのか考えていたんだ。そして私はついに分かったんだ(分かったと思うんだ
)。エドは猫の前にひざまづいて言いました。彼らがパイへブンの廃墟にいっしょに座っていると、美しい白い世界が彼らを包み込みました。「お母さんは私にレシピをくれた。ウィリーは勇気をくれた。・・・でもお前は・・・」エドは口を止めました。
「お前は理由をくれた。私の店に誰も来ないときでも、お前はいつもそこにいて私のパイを食べてくれた。お前が私をパイ職人にしてくれただろう。」エドはほほえんで、最も誠意のある声で猫に言いました。「ありがとう。本当にありがとう。」
BigFatCat and the Snow of the Century 59 p.69
勝瀬大祐訳
エドはマフラーを取ってねこにかぶせました。エドはかがんで猫をかかえ上げて、マフラーを巻きました。猫の体はまだ少し温か(暖か)かったです。そして、重かったです。彼は今回、はじめて猫を抱いたことに気づいて、泣きました。「ごめん・・・忘れていたよ・・・一瞬モールのそこを。私は忘れていた・・・そしてお前は・・・お前はたぶん思っただろう・・・ごめん、猫。」猫が動きました。エドは見間違えたのかと思いましたが、猫はゆっくりと大きく顔をしかめてエドを見上げました。「猫。」猫はブルーベリーパイを求めて、周りを見回しましたが、何も見つかりませんでした。とても気持ちのいい昼寝の時を途中でエドに起こされたことで、とても不満そうな表情でエドをにらみつけました。それは一度くしゃみをして、素早くエドの手から飛び出しました。エドは一瞬完全に凍りつきました。彼は信じられない思いで猫を見つめました。その猫は何もなかったかのように伸びをしていました。「猫。だいじょうぶなのか。」猫はあくびをしました。エドは猫の手をのばしましたが、猫はいつものように彼をひっかきました。「だいじょうぶか。」エドは言いました。「なんだ。だいじょうぶなのか。」エドはとても安心して、きつく目を閉じました。それは信じられない瞬間で、エドは数秒間、呼吸さえもできませんでした。エドはもう一度目を開いて、猫を見ました。その猫はまだエドを見つめていました。「私はお前を見つけるためにはるばるやってきたんだ。それでお前は昼寝をしていたんだ。なんてやつだ。」エドは顔にほほえみをうかべて、目に涙をうかべて、髪に雪をのせて、言いました。