Wednesday, October 18, 2006

BigFatCat and the Snow of the Century 63 p.74-p.81

勝瀬大祐訳
この世の中にはたくさんのパイがあります。他のより甘いのもあれば、すっぱいのもあります。ぴりっとしたのや、苦いのや、とても辛いのまであります。でもそれは重要ではありません。大切なのはどのパイも違っているということです。それぞれのパイには独特の味があるのです。私のパイは甘くないかもしれません。初めて見ると変に思われるかもしれません。でもそれが私の持っているすべてで、それが私のすべてなのです。そして、どんなパイでも・・・、どんな味でも・・・、友達や家族、そして愛する猫がいれば、そのパイはいつもおいしいのです。たとえそれがマスタードパイでも。 終わり。

Sunday, October 15, 2006

BigFatCat and the Snow of the Century 62 p.72

勝瀬大佑訳
吹雪が世界のあらゆる色を減らして、ひとつの大きな白い雪の大地にしてしまいました。遠くから、パトカーのサイレンが近づいてきていました。エドと猫は町に戻りだしました。彼らの足跡は雪の中で近寄って(よりそって)並んでいました。この今夜は終わるでしょう。でもすぐに、エヴァービルの町で新しい一日がはじまるでしょう。

Thursday, October 12, 2006

BigFatCat and the Snow of the Century 61 p.71

勝瀬大祐訳
一瞬、時間が止まったようでした。静かに降る雪の中、世界は音もなく慈悲深いものでした。それでも、エドは心の奥では、時間はまたすぐに動き出すだろうと分かっていました。彼は多くの人々に謝らなければならないでしょう。そして、新しい生活を立てる方法を見つけなければならないでしょう。でも今は、関係ありませんでした。それは彼と猫だけのことで、それは始めのことのことでした。(それは彼と猫だけのことでした。ちょうど始めそうであったように。)エドは立ち上がりました。「君はパイ職人だ、エド。ただ店がないパイ職人というだけだ。さあ戻るんだ。パイを焼くんだ。」「そうするよ、ウィリー。」エドはマフラーを巻いて、ささやきました。猫は待つのにうんざりしていました。その猫はまたエドをひっかくと決めていました。「わかった、わかった。帰ったらすぐにブルーベリーパイを焼いてやるから。とにかくマジックパイショップの準備をしないといけないな。」
猫はエドをひっかいて答えました。エドは微笑みました。「そうだ猫、お前には名前が本当にひつようだな。」彼は言いました。

Monday, October 09, 2006

BigFatCat and the Snow of the Century 60 p.70

勝瀬大祐訳
エドは目を拭くと、雪と風が落ち着き始めているのに気づきました。今は、やわらかな粉雪だけが空から降っていました。「猫・・・私はお前を探している間中ずっと、私はなぜそんなにお前を必要としているのか考えていたんだ。そして私はついに分かったんだ(分かったと思うんだ
)。エドは猫の前にひざまづいて言いました。彼らがパイへブンの廃墟にいっしょに座っていると、美しい白い世界が彼らを包み込みました。「お母さんは私にレシピをくれた。ウィリーは勇気をくれた。・・・でもお前は・・・」エドは口を止めました。
 「お前は理由をくれた。私の店に誰も来ないときでも、お前はいつもそこにいて私のパイを食べてくれた。お前が私をパイ職人にしてくれただろう。」エドはほほえんで、最も誠意のある声で猫に言いました。「ありがとう。本当にありがとう。」

Thursday, October 05, 2006

BigFatCat and the Snow of the Century 59 p.69

勝瀬大祐訳
エドはマフラーを取ってねこにかぶせました。エドはかがんで猫をかかえ上げて、マフラーを巻きました。猫の体はまだ少し温か(暖か)かったです。そして、重かったです。彼は今回、はじめて猫を抱いたことに気づいて、泣きました。「ごめん・・・忘れていたよ・・・一瞬モールのそこを。私は忘れていた・・・そしてお前は・・・お前はたぶん思っただろう・・・ごめん、猫。」猫が動きました。エドは見間違えたのかと思いましたが、猫はゆっくりと大きく顔をしかめてエドを見上げました。「猫。」猫はブルーベリーパイを求めて、周りを見回しましたが、何も見つかりませんでした。とても気持ちのいい昼寝の時を途中でエドに起こされたことで、とても不満そうな表情でエドをにらみつけました。それは一度くしゃみをして、素早くエドの手から飛び出しました。エドは一瞬完全に凍りつきました。彼は信じられない思いで猫を見つめました。その猫は何もなかったかのように伸びをしていました。「猫。だいじょうぶなのか。」猫はあくびをしました。エドは猫の手をのばしましたが、猫はいつものように彼をひっかきました。「だいじょうぶか。」エドは言いました。「なんだ。だいじょうぶなのか。」エドはとても安心して、きつく目を閉じました。それは信じられない瞬間で、エドは数秒間、呼吸さえもできませんでした。エドはもう一度目を開いて、猫を見ました。その猫はまだエドを見つめていました。「私はお前を見つけるためにはるばるやってきたんだ。それでお前は昼寝をしていたんだ。なんてやつだ。」エドは顔にほほえみをうかべて、目に涙をうかべて、髪に雪をのせて、言いました。

Saturday, September 30, 2006

BigFatCat and the Snow of the Century 58 p.68

勝瀬大祐訳
エドは手を伸ばして猫の体に触れました。それは冷たくなっていました。エドは息を飲(呑)みました。ふるえで背筋が凍りつきました。「猫・・・おい。見つけたぞ。またお前を見つけたぞ。今度は、遅れてないよ。だから、目を覚ましてくれ。」その猫がパイ天国にやって来た日からその猫はいつもエドの猫でした。その猫は始めからブルーベリーパイが好きでした。その猫は彼の唯一の猫でした。「こんなところで寝るんじゃない、猫。おい、私は遅れてないぞ、ちくしょう。誓うよ、今度は遅れてない。」返事はありませんでした。猫はまったく動かないままでした。でもなぜか、エドは猫に自分の声が聞こえていると分かっていました。その猫はいつも彼のところに戻ってきました。そして、また、それは戻ってくるでしょう。「なあ。お前が欲しいだけのブルーベリーパイを焼いてやるから。だから、だから、目を覚ましてくれ。お願いだ。猫。起きろ。」でも相変わらず、返事はありませんでした。まったく何の返事もありませんでした。すべての力がエドから抜け始めました。彼はそこに立ったまま動かない猫の体を見つめていました。それは雪の中に横たわっていて、とても冷たくなっているようでした。

BigFatCat and the Snow of the Century 57 p.67

勝瀬大祐訳
エドは箱にとびつき、箱の上の雪をはらいました。それは彼の古いガラスのショーケースでした。エドは手を使って箱の端を探しました。これは、彼がいつもブルーベリーパイを入れていたショーケースでした。彼はケースの上を取り除いて、中をのぞきました。雪はケースの中まで入っていて、半分ぐらい満たしていました。エドは指先の痛みを気にせずに、両手で雪を掘り出しました。彼はついにほとんどの雪を出すことができました。「だめだ・・・」エドは言いました。ケースの角の雪にうまっていたのは、毛の玉でした。「なんてことだ・・・」その毛の玉は動きませんでした。彼は手をふるわせながら、雪の上にひざまずきました。「猫・・・」エドは言いました。こらえていた涙が今出てきました。彼は弱々しい声で言いました。「猫・・・。目を覚ますんだ・・・お願い。」

Saturday, September 23, 2006

BigFatCat and the Snow of the Century 56 p.66

勝瀬大祐訳
「ウィリー・・・」エドは目を半分開けると、自分が雪の中のどこかで気を失っていたことに気づきました。彼はかろうじてひざまづくことができました。彼はウィリーを探して周りを見回しましたが、彼の周りには吹雪の他には何もありませんでした。「ウィリー・・・私・・・」エドは雪の下で右手に何かをにぎっていることに気づいて、話すのをやめました。彼が手を引くと雪の下からひもが出てきました。彼は一瞬それが何か分かりませんでした。彼はただそれを見つめているだけでした。でも、ゆっくり、とてもゆっくりと、彼は前のそのひもを見たことを思い出しました。彼は雪の中からひもを引きました。エドは目を大きく開いて、必死にそのひもを引っ張りました。すると、ひとつながりのジンジャーブレッドマンの飾りが彼の前に雪の中から現れました。それは、パイ天国の表の窓の飾りでした。エドは立ち上がりました。吹雪は少しだけ弱まったようでした。エドはすぐにそのひもを引き寄せました。そのもう一方の端は数フィート先の雪に覆われた箱の下にうまっていました。